背水=下流の水位変化が上流の水位に与える影響

諫早湾の目次
水理学による検証
不等流計算
マニングの式

 川や人工水路の流れの一部で,水位が上昇または下降すると,その影響が現れます.あまり流れが急ですと,水位変化が上流側に伝わりません(このような流れを射流といいます)が,流れが緩やかな場合,下流の水位変化が上流側に伝わります(このような流れを常流といいます).

 図は流れを横から見たところです.いちばん上は断面の形,大きさ,流速が一様な流れを示しています.このような流れを等流といい,このときの水面の線を等流水深線といいます.等流水深線は流量と水路の横断面形状および勾配によって決まります(マニングの式参照).

 等流の一部に堰(せき)を作って水位を高くすると,堰の上流側の水位も高くなります(満潮で河口の潮位が高くなる場合も同様).この現象をせき上げ背水または単に背水(バックウォーター)といいます.せき上げ背水の水面は上流に向かうにつれて等流水深線に近づき,やがては等流水深線と事実上同じになります

 等流の一部に段落ちを作って水位を低くすると,その上流側の水位も低くなります(干潮で河口の潮位が低くなる場合も同様).この現象を低下背水といいます.低下背水の水面も上流に向かうにつれて等流水深線に近づき,やがては等流水深線と事実上同じになります.ただし,段落ち部分の水位は限界水深線(水路の横断面形状と流量によって決まる)と呼ばれる線より低下することはありません.
 せき上げ背水と低下背水を総合して考えると,流れの一部で水位が変化しても,上流に向かうと水位変化が小さくなり,やがて等流水深線に落ち着くということがわかります.つまり,河口で潮位が変化しても,ある程度,川をさかのぼれば,川の水位は潮位に無関係になるわけです.平常時に潮がさかのぼる(川底が満潮位より低い)かどうかは関係ありません.  

 自然河川は等流ではありませんが,断面形状・大きさの変化が小さければ,近似的に等流水深線を求め,ブレッスの式を使って背水の水位を求めることが可能です.精度の高い計算をする場合は,不等流計算(広義にはブレッスの式もその一種です)を行ないます.


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http://www.fsinet.or.jp/~hoteia 制作・著作 布袋 厚 1999年