1983年 埋津水位2.6mまで潮位の影響が見られる.それ以上の水位では潮位1.46mまでのデータしかない.その範囲では埋津水位に対する潮位の影響は見られない.
1985年 潮位1.77m以下,かつ埋津水位3.3m以下の範囲では潮位の影響は見られない.それ以上の水位については潮位1m以上のデータがない.
1986年 潮位1.99mまでのデータしかない.その範囲では埋津水位に対する潮位の影響は見られない.
1988年 埋津水位2.1mまで潮位の影響が見られる.それ以上では満潮と干潮の比較ができるデータがなく,判断できない.
1989年 埋津水位3.0mまで潮位の影響が見られる.流量の大きい場合についてはデータがなく,判断できない.
1990年 潮位-0.90〜1.00mのデータしかない.その範囲では埋津水位に対する潮位の影響は見られない.
1991年 埋津水位3.8mまで潮位の影響?,他の年よりも,ばらつきが大きく判断しにくい.
1992年 干潮時と満潮時の比較ができるデータがなく,判断できない.
1993年 埋津水位3.3m以上で潮位の影響は消滅.
1995年 埋津水位3.3m以上で潮位の影響は消滅.
1996年 観測数が少なく,判断できない.
(注)水位・潮位・堤防高などはすべて東京湾平均海面からの高さ(地図で用いられる標高と同じ)であらわしています.
以上を総合すると埋津の水位が潮位の影響を確実に受けるのは,埋津水位3.0m以下,かつ大浦潮位2.0m以上(大潮満潮)のときです.埋津水位3.3m以上では大浦潮位2.0m以上でも,影響が出ていません(よって潮位の影響を受ける水位の上限を3.3mと考えます).1991年のパターンは他の年に見られず,精度に問題がありますが,仮に信用できるとしても,潮位の影響を受けるのは埋津水位3.8m以下の場合に限られます.
なので,防災が問題になるような水位のときは,潮位の影響はない(下流で収斂が起こっている)ということになります.
埋津は河床高(川底の標高)が1.2mです.大潮満潮のときは潮位が2.0m以上になるのでここまで潮が上ってきます.しかし,洪水で水位が警戒水位に達するような場合には潮位の影響はありません.諫早湾を締め切ったところで埋津の水位は下がりません.「潮がのぼる=調整池で防災効果がある」という論理は天動説と同様の短絡的解釈に過ぎません.
このページを含む<諫早湾と防災>閉鎖保存版は有明海漁民・市民ネットワーク事務局が著作者から全面的な管理を委ねられ、独自に複製・配布・公開しています。著作者は諫早湾の問題からは手を引いており、質問等は受け付けていません。
http://www.fsinet.or.jp/~hoteia 制作・著作 布袋 厚 1999年