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諫早湾の目次
1999年7月23日の集中豪雨
1999年7月23日集中豪雨による崖崩れ(縮小画面)
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赤点(大きさを誇張してあります)=崩壊箇所 だいだい色線=調査範囲の外周 水色線=河川 |
調査 布袋 厚・近藤 寛 画像著作 布袋 厚(1999)
中央やや左を南北(縦方向)に走るひときわ目だった流れが本明川で,下のへりで直角に曲がっているあたりが諫早市の市街地です.
調査
範囲
多良山系(諫早湾の地理参照)の南山麓に広がる火山扇状地(一部は多良山系の溶岩や第三紀の堆積岩の地域)です.地質は風化の著しい礫岩層でたいへん脆弱です(長崎市の唐八景礫岩層に似ています).
この地域を調査した理由
(1)雨の中心が多良山系南部にありました.
(2)地質・地形がわりあいに均一で,雨量との関係を見るのに好都合です.
期間
1999年8月9日−1999年9月18日
崖崩れの中には7月23日以外に発生したものが紛れ込んでいる可能性もあります.現場の観察により,できるだけ紛れ込みをなくすように努めました.
方法
(1)原則として自動車で走査しながら,目視により位置を割り出し,地図に記入しました.
(2)必要に応じて崩壊現場まで歩いて確認しました.
崖崩れの特徴
分布
(1)本明川より西(左)側で崖崩れが明らかに少なくなっています.
(2)東(右)のほうに行くにつれて数がだんだん減っています.
雨量分布との関連
強雨帯が北東から南西に細長く伸び,強雨の中心が諫早市中心部の北にある(雨量分布図参照)ことに良く対応して,崖崩れが分布しています.とくに24時間降水量300mm以上のところで,崖崩れの数が目立って多くなっています.
崖崩れの規模
(1)ほとんどは高さも幅も数mの小規模な崩壊(最大規模で高さ30m程度)です.
(2)崩壊は道路の切り土や盛り土,農地の法面で多く発生しています.
(3)民家裏の切り土や自然斜面も崩壊しています.
(4)大半が崩落で,一部は地滑りに近いものがあります.
(5)土石流は確認できませんでした.
豪雨の性格付け
1957年諫早豪雨時の諫早湾周辺や1982年長崎豪雨時の長崎市東部では谷筋がことごとく崩壊し,おびただしい数の土石流が発生しました.今回はそのようなことはなかったので,土砂災害から見る限り豪雨の格付けとしては,1957・1982年災害より,明らかに弱いと言えます.
同時に,通常見られないほど多くの崖崩れが発生したので,例年の大雨より強烈だったと言えます.
このページを含む<諫早湾と防災>閉鎖保存版は有明海漁民・市民ネットワーク事務局が著作者から全面的な管理を委ねられ、独自に複製・配布・公開しています。著作者は諫早湾の問題からは手を引いており、質問等は受け付けていません。
http://www.fsinet.or.jp/~hoteia 制作・著作 布袋 厚 1999年