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1997年の雨量分布図を一部修正いたしました.(2000年7月11日)
月初めに朝鮮半島にあった梅雨前線が5日ごろ南下しはじめ7日から14日にかけて九州北部に停滞し,断続的な大雨が観測された.まず毎日の24時間雨量分布図と時間経過を概説する.図中にたくさんある小点はその日の雨量データの観測点の位置を示す.また,破線で囲まれた範囲は,調整池流域(そこに降った雨が調整池に流れ込む)をあらわす.
6日の早朝,諫早市西部から諫早湾北岸に沿い帯状に集中して激しい雨が降り,最大で1時間雨量69.5mm,日雨量205.5mmに達した.しかし,雨域は限局的で他の地域では無降水に近い状態であった.午後は1時間5mm以下の雨が散発的に見られた.23時台になり1時間10mm前後の降水があった.
7日は波状的に1時間数mm−十数mm(多良山地や雲仙ではもっと多い)の雨が広い範囲に降っている.日降水量は諫早湾南側では50−90mm,多良山地や雲仙では100mm以上であった.この雨は夕方以降,小康状態となった.
8日は朝と夕方,夜半前に1時間数mmから20mm台の降水があった.日中は多良山地を除いてほぼ無降水となっている.このため日雨量は前日よりさらに少なく,諫早湾周辺では40−80mmの範囲にとどまっている.
9日は未明から午前中にかけて1時間10−30mmのまとまった雨があり,諫早湾付近では3−4時に第一波を迎えた.しかし最大でも1時間雨量35mmでありごく普通の土砂降りである.しかし,降雨時間が長かったため,日雨量はほぼ全域で150mm以上となり,諫早湾南側を中心に多いところでは200mmを超えている(最大で234.5mm).雲仙では250mm以上となった.
10日は日中を中心に広範囲でまとまった降雨が見られた.1時間雨量の最大は12−13時に50.5mmであったが,この雨は局地的であった.広がりを考慮に入れると10−11時が最大のピーク(期間中の第二波)であり,諫早市南部付近で1時間雨量30mm台であった.この雨は午後になって終息した.日降水量は全域で150mmを超え,最大276.5mmを記録している.
11日は未明から朝にかけて,1時間10−30mm台のまとまった雨域が見られ,最大1時間雨量は7−8時に43mmを記録している.これが第三のピークである.午後と夜には諫早市南部の限られた範囲に1時間5−30mmの雨が波状的に降っている.日雨量は最大で291mmを記録している.しかし,分布が諫早市南部付近に限局しており,その他の地域では60−150mmである.
12日になると明け方と午後に1時間10−20mm台の雨が通過している.しかし,他の時間帯は1時間5mm未満であったため,日雨量も一部(最大120mm)を除いて100mmを下回った.この日で一連の大雨は終息した.
これに対し諫早豪雨の日雨量(左図,『諫早水害誌』をトレース)は最大で1109.2mmに達し,諫早湾南側の大半で900mmを超えている.さらに500mm以上の範囲が現調整池流域のほぼ全域に広がっている(500mm未満の部分を源流とする河川は在来干拓地に無関係).
日降水量で比較すると1997年7月の雨は諫早豪雨の3分の1(多良山地では2分の1)程度となる.
このページを含む<諫早湾と防災>閉鎖保存版は有明海漁民・市民ネットワーク事務局が著作者から全面的な管理を委ねられ、独自に複製・配布・公開しています。著作者は諫早湾の問題からは手を引いており、質問等は受け付けていません。
http://www.fsinet.or.jp/~hoteia 制作・著作 布袋 厚 2000年