下図は東京湾平均海面からの高さで表した本明川の水位(裏山・埋津・不知火)と調整池,および有明海(北部排水門外・大浦)の水位・潮位を示す.裏山は本流,埋津は支流半造川にあり,これらの合流点の下流に不知火がある.
(注)観測所位置図へのリンク
裏山・埋津・不知火 大浦・北部排水門(北部排水門は締め切り堤防の北端(図では左上端)付近にあります.
不知火の水位変化は裏山の水位変化にほぼ平行しており,埋津の変化も少し加わっている.これは流量の比率で見たとき裏山の方が優っているからである.また,埋津の水位は初期を除いて大潮満潮位(+2.5m)を超えている.調整池の水位は9日ごろから上昇が優り,10日には+0.13mに達している.不知火の水位は,平常時には調整池の水位の影響を受けるにもかかわらず,大雨時には上流の水位により支配され,調整池の水位変化の影響は認められない.潮止めまでは,諫早市街地付近の本明川水位と諫早湾潮位との関係でこれと同様の現象が起こっていたことが示唆される.
(注)潮止め前の有明海(大浦)潮位が,不知火・埋津水位にどの程度の影響を与えていたかについては実測グラフおよびを参照ください.黄色線が不知火水位,青破線が潮位です.不知火水位0.5m以上の部分で両者の関係を見てください.洪水の変化は黒線を見るとわかります.)と,満潮前後には不知火の水位と大浦の潮位はほとんど同じです(とくに1992年8月15日のピーク時が典型的).そして,干潮時の不知火水位が0.5m以上の場合,潮位変化に対応する曲線と洪水固有の曲線との境目はかなり明瞭です.洪水と潮位はほとんど加算されず,両者のうちの高いほうの水位が不知火の水位になるわけです.
排水門外と大浦の潮位は両地点の距離が10km以上あるにもかかわらず,潮位差は数cmしかない.しかし,干潮時に潮位が調整池水位を下回り,水門を開いて大量に排水しているときを注目すると,9日午後や10日午後,排水門外潮位が大浦潮位より20cmほど高くなっているのがわかる(このような現象は1997年7月以外の記録にも共通して見られる).これは調整池の水が勢いよく流れ出し,水門外の水を押し上げることを示す(海水と淡水の比重差が原因なら,排水時間以外も潮位差を生じているはずである).
現時点で制作してある資料はここまでです.続きの制作は未定です.
このページを含む<諫早湾と防災>閉鎖保存版は有明海漁民・市民ネットワーク事務局が著作者から全面的な管理を委ねられ、独自に複製・配布・公開しています。著作者は諫早湾の問題からは手を引いており、質問等は受け付けていません。
http://www.fsinet.or.jp/~hoteia 制作・著作 布袋 厚 2000年