干拓の方法

諫早湾の目次
低地(在来干拓地)の浸水

 

生まれは水面下

 干拓地はその生い立ちから必ず低地になっています.干拓とは
(1)干潟を堤防(潮受け堤防という)で囲んで締め切る.
(2)堤防に水門をつけて干潮のときに海に排水する.
(3)満潮のときは水門を閉じて海水の逆流を防ぐ.
という方法で,水面下の干潟を強制的に陸地にしたものです.このため干拓地は満潮のとき必ず海面より低くなるのです.

埋め立てとの違い

 埋め立ては海中に土砂を入れ,海面より高くして土地を造成します.ですから,浸水被害は防げます.
 これにたいして干拓は海底を干しただけなので,雨が降れば水没するのです.

水路で冠水防止

 雨のたびに水没しては困るので,
(1)縦横に水路(承水路またはクリークという)をほる.
(2)満潮のときは水路に水を落として,冠水を防ぐ.
(3)干潮のときに水門を開けて排水する.
(4)水路に水を残しておいて農業用水に使う.
という方法で,水の管理をしています.しかし,大雨になると水路の中に水がおさまりきれず,あふれ出して冠水します.

浸水しやすいのに水不足

 干拓地は水に恵まれているようで,実は水不足です.真水の大きな川がなく,まわりは海で塩水だからです.そこで農家では,水路の水を捨ててしまわず,貯めておいて田畑のかんがい用水に使ってきました.水路を空っぽにしておけば,浸水対策になるのですが,現実はそうもいかず,大雨になると水浸しで悩まされているのです(佐賀市では市役所を中心に管理システムがあり,成果をあげている).

諫早湾干拓の特徴

 ここで挙げた干拓の方法は基本的に諫早湾干拓にも当てはまります.そのうえで特徴といえるのは
(1)潮受け堤防が通常の干拓よりも(大潮干潮時も水面下の場所)にある.
(2)水路が巨大になって,「調整池」と呼ばれる.
(3)土地造成を欲張って水路(調整池)の中まで干拓する.
(4)用水不足で水路の中に大きな川(本明川など)を取り込んだ
 つまり,新たな低地づくりを大掛りにやっているということです.

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http://www.fsinet.or.jp/~hoteia 制作・著作 布袋 厚 1999年