本明川水位への潮位の影響

実測値と洪水シミュレーションを組み合わせた分析結果

1991-1996

は2000年9月公開の資料です.

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同じ期間の埋津の水位と雨量のグラフを見る
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分析結果の見方と要約に移る

1983−1990年の実例に移る

1991年6-7月

 大潮から小潮に向かっています.埋津水位の変動が小刻みでわかりにくいのですが,埋津水位が2.5m以下のときに潮位の影響が出ているようです.この水位は通常の大潮満潮位以下であり,防災上,何ら問題になりません.

1991年7月

 大潮時の台風です.最接近は29日14時ごろです(赤らせん印).暴風雨のため一時的に欠測しています.

 29日朝方,上流に向かう強風により,川水が押し上げられたようです(緑色表示のギザギザした部分).洪水ピークが干潮にあたっており,潮位の影響が出る上限水位は特定できません.分かる範囲では3.0m未満で,指定水位 3.348mに届かず,防災上,何ら問題になりません.

 建設省から以前入手した1991年7月29日のデータに異常な箇所があったため,原記録を直接調査したところ,誤りが見つかりましたので,正しい数値をもとに図・説明を変更しました.

(2000/3/29 修正)

1992年8月

 典型的な大潮満潮時の洪水です.潮位の影響は埋津水位2.7m以下で見られます.この水位は指定水位 3.348mに届かず,防災上,何ら問題になりません.

 ピークの少し前の曲線形は一見潮位の影響を受けているように見えますが,これは雨がいったん小止みになり減水したためで,潮位の影響がない裏山観測所でも同様の変化が観測されています.さらに注意してみると予想水位にもそれに対応する折れ曲がりが認められます.

 予想水位の信憑性は12日の曲線,15日午後の減水曲線が実測値とよく一致していることで裏付けられます.

 ここで重要なのはページの冒頭で説明したように,洪水のピークであるにもかかわらず,不知火の水位が大浦の潮位と同じだということです(矢印)

★1993年7月

 大潮にあたっています.埋津の水位が3.3m未満のときに潮位の影響が現れています.この水位は指定水位 3.348mに届かず,防災上,何ら問題になりません.

★1994年6月

 小潮にあたります.潮位の影響は埋津の水位が2.0m以下のときに現れています.この水位は大潮満潮位に届かず,防災上,何ら問題になりません.

★1995年6月

 大潮から小潮に向かっています.潮位の影響は埋津の水位が3.0m以下のとき現れています.この水位は指定水位 3.348mに届かず,防災上,何ら問題になりません.注意して見ると,埋津の水位と大浦・不知火の潮位との差が,0.6mを下回ろうとするとき,潮位の影響が出ていることが分かります.

 2日昼の小ピーク時に,実測水位が予想水位を上回り,一見すると潮位の影響が出ているかのように見えます.しかし,潮の影響がない裏山観測所の流量についても,同時刻の実測水位から換算した流量が突出して,降水量から計算した予想流量を上回っているので,潮汐の影響と考えなくてもじゅうぶんに説明がつきます.

 洪水ピーク時も減水時も,不知火と大浦の満潮位は同じです.

★1995年7月

 上の図の続きで,小潮から大潮に向かっています.減水時(8-11日)の場合,埋津の水位が2.4m以下のときで,かつ,埋津と大浦・不知火の水位差が0.5mを下回ろうとしたときに,潮位の影響が出ています.この水位は通常の大潮満潮位であり,防災上,何ら問題になりません.

 やや水位の高い6-7日には,埋津の水位が2.2m以下で,大浦・不知火潮位との差が1.0m以下になると潮位の影響が出ているようです.

1996年7月

 大潮満潮に少し遅れて,洪水のピークが来ています.潮位の影響の上限は埋津水位2.8m程度です.この水位は指定水位 3.348mに届かず,防災上,何ら問題になりません.

 予想水位の信憑性は午後の減水曲線が実測値とよく一致していることで裏付けられます.

★1996年8月

 典型的な大潮です.水位3.1m以下のときに潮位の影響が出ています.この水位は指定水位 3.348mに届かず,防災上,何ら問題になりません.大浦の満潮位よりも不知火の満潮位が0.1−0.2m高く,不知火の満潮位よりも埋津の満潮位が0.1-0.2m高くなっており,埋津の満潮時刻が不知火・大浦の満潮時刻より1時間遅れていることもわかります.


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長崎自然史仮想博物館 制作・著作 布袋 厚 2000年