降水量をもとに計算した水位と実測水位・潮位を比較する方法 流量の計算法
流域とは,特定の川(河口または途中の地点)や湖に向かって,水が集まる範囲をいいます.たとえば本明川流域に降った雨水は地表を流れて最終的に本明川の河口に集まります.埋津流域に降った雨水は埋津という地点に集まります.ある流域と別の流域の境界線を分水嶺といいます.
流域に降った雨の総量を正確に出すには,流域内に隙間なく雨量計を並べる必要がありますが,実際にはそのようなことは不可能です.現実にはいくつかの観測点のデータを使って,平均雨量を出すことによって代用しています.平均雨量の計算法にはいろいろな方法があり,それぞれ一長一短あります.
下記参照
複数の観測点の雨量を単純に平均する方法で,簡単である反面,観測点が不均等に分布していると誤差が大きくなります.
地図の等高線のように,雨量の等しい線を引いた図を作り,面積を考慮して平均します.正確さが増す代わりに,煩雑,作図に個人差があるなどの欠点があります.
地形や気象条件を参考に,流域をいくつかの区域に分け,それぞれの区域内では雨量が均一と考えて計算します.不確実な要素が多く,個人差も生じやすい問題があります.
合成図そのものが数値データなのでコンピュータで計算しやすく,雨量計で捕らえられない細部の状況を考慮できます.ただし,合成図が示すのは雨量そのものではなく,電波の反射強度であることに注意が必要です.今後の利用が考えられます.
アニメーション参照
ティーセン法はオランダの Thiessen が提唱した方法で,算術平均の欠点を「面積」の考慮で補う方法です.簡単なため広く用いられていますが,機械的で,裏づけとなる根拠に乏しい欠点もあります.このホームページでの計算にもティーセン法を使用しています.
はじめに流域の外縁(分水嶺)と流域付近の観測点を地図に記入し,観測点間の垂直二等分線を引きます.これにより流域は,それぞれの観測点に対応した多角形(ティーセン多角形)に分けられます.
つぎに,それぞれの多角形の面積(支配面積)を求めます.面積の出し方にはいくつかの方法がありますが,このホームページでは地図上で観測点と分水嶺の座標を読み,CAD(製図用ソフトウェア)を使用して分割から面積計測まで行なっています.
最後に観測点ごとに雨量と支配面積を掛け合わせて,全体を合計したあと流域の総面積で割って平均雨量を求めます.それぞれの多角形内では雨量が均一で観測点の値と同じだというのがティーセン法の考え方です.
このページを含む<諫早湾と防災>閉鎖保存版は有明海漁民・市民ネットワーク事務局が著作者から全面的な管理を委ねられ、独自に複製・配布・公開しています。著作者は諫早湾の問題からは手を引いており、質問等は受け付けていません。
http://www.fsinet.or.jp/~hoteia 制作・著作 布袋 厚 1999年