常流(ここでは射流は考えないことにします)の流れのある水路の一部分で水位が変化すると上流のほうに水位変化が及びます.これを背水と呼びます.長方形断面の水路を想定して,水位の具体的な数値を求める計算式をブレッス(Bresse)の式とよびます.
限界水深はとなります.
水面の上昇で水深が H1になった地点から,水深 H(H0≦H≦H1の範囲で任意)となる地点までの距離は
となります.このとき, B(H0/H) と B(H0/H1) は,
で求められます.B(H0/H) の計算は少し面倒なので,水理学書には,しばしば数表が掲載されています.数表には2種類あり,一方は上式の計算結果と同じ値が,もう一方は上式の計算結果から 0.9069 引いた値が出ています.どちらを使っても,最終的な水位は同じ数値になります.Q&AのQ4を参照ください.
水面の低下で水深が H1(HC≦H1≦H0)になった地点から,水深 H(H1≦H≦H0の範囲で任意)となる地点までの距離は
となります.このとき,B1(H/H0) と B1(H1/H0) は,
で求められます.
B1(H/H0) と B1(H1/H0)の式は1999年10月6日までtan-1の部分を誤って表示していました.上記のとおり訂正してお詫びいたします.
tan-1 とは tan の逆関数で,インバースタンジェント あるいは アークタンジェント と読みます.たとえば,
tan(π/4)=1 に対して,tan-11=π/4
となります.
背水の計算のときには必ず弧度法(ラジアン)を使ってください.
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http://www.fsinet.or.jp/~hoteia 制作・著作 布袋 厚 1999年