諫早湾周辺低地の降水量と強制排水量の潮止め前後の比較

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  1993年7月の図が誤っていました.訂正してお詫びいたします.恐れ入りますが,すでにダウンロードされた方は差し替えをお願いいたします. (2001/04/28)

諫早湾の目次
低地の浸水

 諫早湾干拓を推進する農水省などは,「諫早湾を締め切ったことで,満潮時でも低地の排水が可能になり,防災効果を発揮している」と宣伝しています.その証拠として「低地の排水ポンプの運転時間が短くなった」ことをあげています.

 農水省の宣伝ではしばしば,低地と離れたところにある諫早市中心部の雨量を持ち出して,過去との比較を行ない,誤った判断をもたらしています.

参照 1999年諫早豪雨の低地流域別降水量

 ポンプの運転時間が短くてすんだという宣伝がほんとうに正しいかどうかを検証するには,低地の流域ごとに,降水量とポンプによる強制排水量を比較する必要があります.ここでは,諫早湾締め切り(潮止め)前後の降水量記録と排水機場の運転記録をもとに,流域別の降水量と強制排水量を比較し,潮止めでどれほど変化しているかを判断するための材料を提供します.

資料の作成方法と読み方

降水量の算出

 諫早湾周辺の公機関の降水量記録をもとに,流域ごとの降水トン数を計算しました.計算ではティーセン法を使用し,観測地点ごとに
降水トン数(m3)=降水量(mm)×面積(km2)×1000
を求め,それを合計して,流域全体の降水トン数としました.

 これは (体積)=(面積)×(高さ) という誰でも知っている計算の応用です.「防災問題の検証」というと,とても難しそうな感じがして,敬遠されがちですが,実際にはそうでもない場合が多いのです.

強制排水量の算出

 排水機場ごと(ポンプが2台以上ある場合はポンプごと)に,運転開始時刻と運転終了時刻の記録から
排水量(m3)=運転時間(分)×排水能力(m3/秒)×60
を求め,それを合計して,流域全体の排水量としています.

グラフの見方

 流域の区分は,農水省の『洪水排水計画』(1997年に長崎地方裁判所に提出)と同様にしました.各流域で左側の棒が降水量,右側の棒が強制排水量を表わします.単位はどちらも万m3です.したがって,降水量と強制排水量を絶対量で直接比較できます.

 色分けは日別の降水量・強制排水量を表わします.したがって,降水何日目でポンプを始動したか,排水に何日かかったかをみることが可能です.

 諫早湾締め切り(潮止め)で,ポンプ排水軽減効果が認められるかどうか,釜の鼻・二反田川・小野島の3流域に着目して,みなさんご自身の目で判断してください.

参照 諫早湾周辺の排水機場

注意

 流域によっては,諫早湾締め切り(潮止め)前に排水機場が未整備で,締め切り(潮止め)後と直接には比較できません.以下の流域については,比較可能な期間を表示しますので注意してください.

潮止め(締め切り)後と比較が可能な期間
小野島流域仲沖流域小豆崎流域長田流域白浜流域
1989年以降1995年以降1995年以降1994年以降1993年以降

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このページを含む<諫早湾と防災>閉鎖保存版は有明海漁民・市民ネットワーク事務局が著作者から全面的な管理を委ねられ、独自に複製・配布・公開しています。著作者は諫早湾の問題からは手を引いており、質問等は受け付けていません。

長崎自然史仮想博物館 制作・著作 布袋 厚 2001年