<今後の予定> <諫干問題で陥りがちな誤解例> 1.「開門したら干拓農地に海水が入る」という誤解。農地は内部堤防で囲まれており、堤防一つで海と向き合っている他の有明海沿岸農地と同条件になるだけ。 2.「開門したら諫早大水害が再来」という誤解。河口堰の諫干では河川洪水を防止できないから、開門しても諫早大水害とは無関係。洪水防止は国交省が実施中の河川整備計画の仕事。 3.「開門したら背後地で湛水被害が増える」という誤解。調整池水位上限を−1mとする開門の第1段階では、湛水はむしろ減少。現在は淡水化維持のため、海域の潮位より調整池水位が20cm上回るまで排水が開始できないが、その制約がとれて直ちに排水が可能になるから。調整池上限水位を−1m以上に上げる場合に備えては、ポンプ場の新増設が必要。 4.「開門したら調整池のヘドロや汚染水が一気に有明海に流出して新たな被害がでる」という誤解。調整池のヘドロや汚染水は、−1mの管理水位維持のため現在でも一方的に排出され続けている。開門とは調整池への海水導入のことで、開門後しばらく経てば海水が水門を出入りするようになる。 5.「段階的開門は海域への影響に懸念があるから」という誤解。一定の濁りがあってこその有明海にその心配はなく、段階的開門を提案した理由は、3年かかるポンプ工事の完成を待たず、工事中でも同時並行で早期の開門が可能になるから。 6.「常時開門とは常時全開のこと」という誤解。常時開門とは、高潮襲来時のような非常時を除いて、いつも開けておくという意味であり、いつも全開とは限らない。漁民側提案の段階的開門の最終段階は、全開と潜り開門を併用した常時開門となる。段階的開門の対立概念は常時開門なのではなく、「いきなり全開」や「制限的開門」である。高裁判決の常時開門とは、段階的開門の最終段階に相当する。 7.「短期開門調査時には湾内漁業に悪影響が出たので国は6千万円の補償をした」という誤解。実際には、短期開門調査の実施年とその翌年は養殖アサリの生残率が向上して漁獲増。例年ならもっと多額の被害が出ている。補償金の支払いは、開門調査に反対する湾内漁協を懐柔し、開門調査による悪影響を喧伝する目的のきわめて政治的なもの。 8.「最高裁は因果関係がないと判断した」という誤解。工事差し止めを命じた佐賀地裁判決を覆した2005年5月の高裁判決に対して、最高裁は「法律違反なし」と認定したに過ぎず、因果関係の判断は行っていない。 9.「排水門の管理は長崎県」という誤解。長崎県が行っている管理は国からの委託業務にすぎず、排水門管理規程の変更権限は国にある。 10.「開門されたら澪筋確保のために又ガタ土浚渫や樋門操作を人力で行わねばならなくなる」という誤解。かつては諫干事業推進のために事業者は意図的に人力での重労働を強いていたが、開門後の浚渫は重機で、樋門操作は農政局が行うことになる。ちなみに佐賀県の樋門はリモートコントロールで操作が可能。 11.「段階的開門でも最後は全開であり被害が起こる」という誤解。いきなりの全開ではなく、それに先立つ第一・第二段階の開門期間中に調整池の水底質は改善され、防災・農業のための準備工事も終了しているので被害は生じない。 12.「潮受堤防の設計上、調整池水位の下限は−1.2m、上限は2.2mである」と主張する長崎県の誤解。上限・下限は内外水位差が約5m未満でないと水圧のアンバランスによって構造上の問題が生じることから言われるもの。たとえば4.9mの高潮襲来時に調整池水位が−1.1mより低い場合が該当(閉め切り直後は−1.0mを下限としていたが、うち続く湛水被害にたまりかねて、−1.1m、−1.2mとなし崩し的に下限を下げる水門操作がなされているのが実態)。しかし常時開門では、潮位の上下に連動して調整池水位も上下するので、内外水位差が大きく隔たることはありえない(その危険性があるのはむしろ閉門中の現在の方)。高潮は数日前から予報可能なので、事前の水位調整は可能であり、実際に昨年からは湛水被害予防のために下限を−1.3mより下げる水門操作が実施されている。−1.2mが下限とする根拠は国と県によって破棄されているのが現実。さらに上限が2.2mというが(全開での開門時でも大潮満潮で2m、そこへ諫早大水害級の豪雨が重なっても2.19mまでしか上昇しないので、端から問題はないのだが)、当初計画での調整池水位は3.17mを予定していた事実を長崎県はどう説明するのか。 13.「漁民は着工前に補償金をもらっているから文句を言う資格はない」という誤解。漁場が全て消滅する潮受堤内8漁協の組合員は、確かに消滅補償を受けているので文句を言う資格はない。しかし堤外4漁協の組合員が受け取った影響補償は「漁獲減は2割だけ、漁家経営は可能」という事業者側の説明が前提。実際は8〜9割減であり、漁民は国に騙されたことに。そうした誤った前提で結ばれた補償契約は無効。 街頭シール投票では、9割を超える市民が開門に賛成(08年10月31日長崎市内で) <緊急公開> 2003年制作ビデオ「ありあけ いさはや、宝の海のメカニズム」(日本自然保護協会・有明海漁民市民ネットワーク等協力、Sustena制作)曲は小林武史さん、うたはsalyuさん、ギターはミスチル田原さん。ナレーションは、もりばやしみほさん。 <新刊のご案内> 『諫早湾調整池の真実』(高橋 徹編著、堤 裕昭・羽生洋三 共同執筆) <目次> はじめに 第1章 有明海異変概説 第2章 諫早湾調整池の実態 第3章 おかしな話 第4章 未来へ おわりに かもがわ出版、税込1680円、ISBN 978-4-7803-0362-9 C0060 A5判152頁. <最近発表の主な漁民ネット文書> ・2011年7月6日 開門アセス準備書素案に対するパブコメ。 ・週刊農林7月5日号に拙稿「目に余る諫早開門費用の水増し」掲載 ・2011年6月10日 アセス素案に対する見解「改めて開門を実施しながらの協議を求める」 ・2010年12月16日 漁民ネット声明「菅総理大臣の上告見送り表明を評価し、早急な開門協議の開始を要望する」 ・2010年7月28日漁民ネット作成チラシ「開門に巨費は不要です」 ・即時開門を可能にする段階的開門法(2010/5/24プレゼン資料)(会場配布資料) ・一日も早い開門の実施を求める漁民ネット緊急声明(2010/4/30) ・弁護団・漁民ネット提案の「段階的開門のスキーム」(2010/4/22) ・早期開門を求める大臣宛要望書(2010/4/22) ・「早期開門実現のために」(記者説明用資料 2010/4/21) 「理解しがたい長崎県の主張」 (2010/3/29) 長崎県主催12/21東京フォーラムへのコメント(2009/12/27) 「週刊農林」に拙稿「諫早開門の実現を新政権に期待する」掲載(09年12月5日号) 有明海関連の農水省概算要求に対する我々の検討結果(09年11月発行) 開門反対の理由を逐一反論した論点整理のための「諫早湾干拓排水門の開門問題に関する論点」(09年10月発行) 防災を謳った諫干で、なぜ湛水被害が増加したかを解説した「開門を機に森山地区の排水対策の実施を」(09年7月発行) 農水省版アセス方法の制度設計の変更を求めたパブコメ「開門調査のための環境アセスメントに係る方法書骨子(素案)への意見」(09年5月13日) 現実的な開門方法を提案した「農業・防災と漁業が両立する早期開門を可能にする 開門方法と環境アセスメント − 2010年5月の開門をめざして ―」と工程表入り要約チラシ。(09年4月発行) 開門の必要性や現実性を説明したパンフレット「今こそ諫早水門の開放を!」の09年度版(09年3月発行) <アルバム集> ・早期開門を求める海上パレード(2010年5月18日) ・タイラギ漁で活況を呈する大浦漁港(2010年1月11日) ・佐賀県ノリ漁民の海上抗議デモ(2010年1月7日) <有明海漁民・市民ネットワークとは> 1997年の諫早湾の閉め切りによる諫早干潟の破壊に抗議する東京周辺の市民たちが結成していた諫早干潟緊急救済東京事務所所属の有志メンバーと、2000年度の有明海ノリ色落ち被害問題で諫干に抗議する有明海漁民たちが、相互に手を携えて有明海を再生させようと2001年8月に設立した任意団体。現在の会員は、漁民600名、市民・弁護士・研究者など150名の計750名で、代表者は福岡県のノリ漁民・松藤文豪、事務局は東京。略称を「漁民ネット」という。 <会員募集> この会は個人参加を原則としています。 有明海沿岸の皆さん、全国の市民・研究者の皆さん、このネットワークに参加し、闘いの輪を広げて下さいますようお願いいたします。 【入会申し込み方法】 下記口座への送金をもって入会申し込みに代えさせていただきます。なお、不明な点等ございましたら、メール(漁民ネット宛メール gyomin-net@goo.jp) にてお問い合わせください。 =口座への送金方法= 郵便局備え付けの郵便振替払込票に下記事項をご記入の上、年会費をお振込みください。 <口座番号> 00120−3−250346 <加入者名> 有明海漁民・市民ネットワーク *郵便局発行の払込金受領証にて会からの領収書に変えさせていただきます。 <通信欄>に下記事項をご記入ください。 ・連絡先住所・氏名(会報の送付先)、(以下は任意)自宅電話番号、FAX番号、メールアドレス、(有明海沿岸漁民の方は)所属漁協名、(NGO所属の方は)NGO名、(研究者の方は)専門分野。 <年会費>漁民1000円、市民3000円 *主に会報誌「漁民ネット通信」印刷・郵送費に当てます。また財政逼迫のためカンパもお寄せいただければ幸いです。 |
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制作者:羽生洋三(有明海漁民・市民ネットワーク事務局 調査研究担当) 本ホームページの開設2009年7月29日(現在も未完)。 ご質問・ご要望などは bye01354※nifty.ne.jp へ。※の箇所は@に換えてください(迷惑メール対策) Copyright (C) 2009 Ariake Sea Network of Fishermen and Citizens. All Rights
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