佐賀県有明海沿岸の防災対策

諫早湾の目次

佐賀県有明海沿岸の防災地図
佐賀県有明海沿岸排水機場一覧表

泥の堆積とその対策  
超軟弱地盤とその対策  
佐賀市の水防災情報システム  
防災の最前線 海岸堤防  
平常時に開放されている水門
八田江防潮水門の運用(2001年4月14日公開)
着々と整備される排水機場
山手の水を受け止める佐賀導水
耕作放棄がほとんどない干拓地

 諫早湾干拓の最大の大義名分に「防災」があります.低地の洪水・高潮対策では堤防のかさ上げ・強化とポンプによる強制排水が常道です.しかし,諫早湾では「潮位差が大きく,地盤が軟弱で,湾を締め切る以外にない」として,干拓が進められています.
 干拓推進論者は「十分に議論した上での結論だ」としてまったく計画を見直す考えを示しません.しかし,重要な事実が隠され,虚偽ともいえる話を前提にして,いくら検討を重ねたところで,まともな結論が出るはずはありません.
 今までの論争は諫早の特殊性を強調するあまり,諫早湾と瓜二つの条件を備える佐賀県有明海沿岸に目を向けることなく,迷路にはまり込んでいるというのが実情です.「論より証拠」「百聞は一見に如かず」ということわざに示されるように,まず,現実に存在している佐賀県の状況をしっかりと知る必要があるのではないでしょうか.

有明海沿岸の特徴

 有明海の最奥部は幅15−20km,奥行き10km程度で遠浅の泥質干潟になっています.海岸堤防下の軟泥の厚さは平均15m,最も厚い有明干拓沿岸では25mに達しています.干満の差が大きく,大潮のときは5m以上になります.沿岸は干拓地であるため,満潮時には海面より低くなり,とくに土地の低い有明干拓(標高0m以下の土地が広がっている.最低地盤は−1.2m)では海面下4mにもなります.また,六角川や筑後川は干拓地の間を流れているため,実質的には海と同じで,六角川では河口から30km近くも潮が逆流します(諫早の本明川では5km).これらの理由により,有明海沿いで高潮対策が必要な堤防は佐賀県内だけで延長150kmに達します(諫早湾では45kmといわれている).
 なお,早津江川を筑後川から切り離し,早津江川河口左岸と太良町北端を結ぶ線(20km)で有明海を締め切って調整池にすれば,流域面積と調整池との面積比や高潮堤防と締め切り堤防の長さの比率から考えて,諫早湾干拓と同じ防災論理が成り立ちます.

 ここに掲載する資料は,建設省・佐賀県・佐賀市などの資料と1998年9-10月の現地総あたり調査の結果を総合して作成したものです.従来,諌早湾干拓事業公式資料ページhttp://www.cityfujisawa.ne.jp/~559-mori/isahaya/)に掲載されてきましたが,2000年7月の第4次調査に伴い,資料を手直し(HTMLタグを整理し,ファイルサイズを大幅縮小,内容を追加・改訂)したのを機会に,長崎自然史仮想博物館において,展示することにいたしました.なお,諌早湾干拓事業公式資料ページでも引き続いて掲載される予定です.

 この資料を作成するにあたっては,1998年秋の現地調査をはじめ,多くの方のご協力を頂きました.


このページを含む<諫早湾と防災>閉鎖保存版は有明海漁民・市民ネットワーク事務局が著作者から全面的な管理を委ねられ、独自に複製・配布・公開しています。著作者は諫早湾の問題からは手を引いており、質問等は受け付けていません。

長崎自然史仮想博物館 制作・著作 布袋 厚 1998・2000年